猫背がスポーツパフォーマンスを低下させる理由
- cashregisterpluson
- 5月22日
- 読了時間: 6分
お世話になっております。院長の佐野です。
先日胸郭について記事にしましたが、猫背についても詳しく説明したいと思い、
今回は猫背にフォーカスしていきます!
〜胸郭機能から考える姿勢とパフォーマンス〜
多くの方々が気づかないうちに抱えている問題、
それが「猫背(過度な胸椎後弯)」です。
単なる見た目の問題と思われがちですが、実は猫背はスポーツパフォーマンスに多大な悪影響を及ぼします。
特にオーバーヘッド競技(野球、バレーボール、テニスなど)や体操、水泳などでは、その影響は顕著です。
ディスプレイを見ることが当たり前な令和の時代。
この記事では、胸郭機能の観点から猫背がどのようにしてパフォーマンスを低下させるのか、そのメカニズムを解説します。

猫背が胸郭機能に与える影響
1. 胸郭の可動性制限
猫背では胸椎が過度に屈曲(前方に丸まる)状態になります。これにより:
胸郭の前後径が減少 -
本来あるべき胸郭の奥行きが失われる
肋骨の動きが制限される -
特に胸郭の拡張・収縮が限定的になる
胸椎の分節的な動き
(各椎骨間の動き)が減少
結果として、胸郭全体の三次元的な可動性が著しく制限され、
身体の中心部からの動きが制限されます。
2. 呼吸機能の低下
胸郭が本来の形状と機能を失うと、呼吸にも大きな影響が出ます:
肺活量の減少 -
胸郭拡張の制限により、一回換気量が減少
横隔膜の位置変化 -
理想的な位置から変位し、効率的な収縮が妨げられる
補助呼吸筋の過剰動員 -
首や肩の筋肉が呼吸を補助するため緊張が増加
競技中の酸素供給不足は、持久力低下や疲労の早期出現につながります。
パフォーマンス低下のメカニズム
1. 力の伝達効率の低下
体は「運動連鎖」と呼ばれるシステムで力を伝達します。猫背の場合:
下半身で生み出したパワーが上半身に適切に伝わらない
腰椎→胸椎→肩甲骨→上肢というパワーの流れが遮断される
エネルギー漏れ(パワーリーク)が発生し、末端(手や腕)での力発揮が減少
例えば、野球の投球やバレーボールのスパイクでは、
下半身の強大な力を上肢に伝える経路として胸郭が重要な役割を果たします。
猫背によりこの伝達が妨げられると、同じ努力をしても球速や打球スピードが低下します。
2. 肩関節機能の低下
猫背は肩関節の機能にも直接影響します:
肩甲骨の位置異常 -
前傾・下方回旋位となり、肩甲上腕リズムが乱れる
肩関節の可動域制限 -
特に外旋や挙上動作が制限される
回旋筋腱板の機能低下 -
インピンジメント(挟み込み)リスクの増加
オーバーヘッド動作では、肩関節の完全な機能が不可欠です。
猫背による影響は投球障害や肩のケガのリスク上昇にもつながります。
3. 姿勢制御能力の低下
正常な胸郭機能は、身体の姿勢制御にも重要な役割を果たします:
固有受容感覚の低下 -
体の位置感覚が鈍くなる
バランス能力の低下 -
特に動的バランスが影響を受ける
反応速度の低下 -
姿勢調整のスピードが遅くなる
競技中の素早い方向転換や予測不能な状況への対応能力が低下します。
4. 神経系への影響
猫背姿勢の長期化は自律神経系にも影響します:
交感神経の過緊張 -
常に「戦闘態勢」状態となり、リカバリー能力が低下
ストレスホルモンの増加 -
コルチゾールなどの上昇によるパフォーマンス低下
疲労感の増加 -
同じ運動負荷でも疲労を感じやすくなる
胸郭機能を改善するための対策
1. 姿勢評価と認識
まずは自分の姿勢を客観的に評価することから始めましょう:
横からの写真撮影
壁に背中をつけた際の隙間のチェック
専門家による評価
2. 胸椎モビリティエクササイズ
胸椎の動きを回復するエクササイズ:
フォームローラーを使った胸椎伸展
四つん這いでの胸椎回旋
タオルを使った胸椎自己モビライゼーション
各エクササイズ10回×2-3セットを目安に、痛みのない範囲で行います。


3. 呼吸パターンの改善
猫背改善には呼吸の質も重要です:
横隔膜呼吸の練習 -
仰向けで膝を立て、腹部に手を置き膨らみを感じながら呼吸
胸郭拡張呼吸 -
肋骨の側面に手を当て、横方向への拡張を意識した呼吸
360度呼吸 -
胸郭全体が風船のように全方向に広がるイメージでの呼吸
4. 筋力バランスの回復
猫背を改善するための筋力トレーニング:
背中の筋肉(菱形筋、中下部僧帽筋)の強化
胸部前面の柔軟性向上(大胸筋、小胸筋のストレッチ)
深層筋(脊柱起立筋、多裂筋)の活性化
5. 日常生活での姿勢意識
トレーニングだけでなく、日常生活での姿勢にも注意が必要です:
携帯電話の使用時間と姿勢に注意
デスクワークでの姿勢サポート
定期的な姿勢チェックと修正
まとめ:胸郭機能の改善がパフォーマンスを変える
猫背の改善は単なる見た目の問題ではなく、
次のようなパフォーマンス向上に直結します:
力の伝達効率の向上
呼吸機能の改善による持久力向上
肩関節機能の最適化
怪我リスクの低減
回復能力の向上
胸郭機能を改善することで、トレーニング量を増やさなくても、
すでに持っている能力をより効率的に発揮できるようになります。
これは特にオーバーヘッド競技や体幹の安定性が重要な競技において顕著です。
良い姿勢とは単に「背筋を伸ばす」ことではなく、
胸郭が本来持つ機能を最大限に発揮できる状態に整えること。
それがパフォーマンス向上の鍵となるのです。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
皆さまとお会いできることを楽しみにしています。
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