〜肩の痛みを解消し、パフォーマンスを高める呼吸と動きの科学〜
- cashregisterpluson
- 5月21日
- 読了時間: 7分
お世話になっております。院長の佐野です。
今日は競技力向上と怪我予防の鍵となる、しかし見落とされがちな「胸郭機能」について深掘りしていきます。
特に野球やバレーボールなどのオーバーヘッド競技や
審美系競技(器械体操やバレエなど)に取り組む学生アスリートにとって、
胸郭の機能は競技生命を左右する重要な要素です。
胸郭とは?その役割を理解しよう
胸郭(きょうかく)は、肋骨、胸骨、胸椎から構成される「胸のカゴ」のような構造です。
単なる骨格ではなく、命に関わる重要な臓器を守る防御システムでもあります:

胸郭に守られる重要臓器と機能不全の影響
胸郭は単なる骨格構造ではなく、生命維持に不可欠な臓器を守る防御システムです:
心臓保護
心臓は胸骨と肋骨に囲まれ、外部からの衝撃から守られています
胸郭機能不全により姿勢が崩れると、心臓の位置や機能にも微妙な影響が及ぶことも
肺の保護と呼吸機能
肺は胸郭内で適切に拡張するよう設計されている
胸郭の動きは肺活量と直接関連し、制限されると酸素摂取量が低下
スポーツパフォーマンスの低下につながる
大血管の保護
大動脈や上大静脈などの重要な血管を保護
適切な胸郭機能は循環器系の効率にも貢献
消化器官への影響
横隔膜を通じて腹部内圧にも影響
胸郭機能不全は消化器系の問題とも関連することがある
スポーツ選手にとって、胸郭の健康は単に肩の動きをサポートするだけでなく、
これら重要臓器の機能を最適に保つことでもあります。
適切な胸郭機能は内部臓器を物理的に保護するだけでなく、それらの生理的機能を最大化する環境を提供するのです。
オーバーヘッド競技・体操選手に多い胸郭機能不全
オーバヘッド競技(野球やテニスなど肩より上から振り下ろす動作がある競技)
や体操選手では
胸郭を含む上半身の機能不全が起こりやすくなります

典型的な症状と兆候
肩関節の痛みや可動域制限
肩を上げるー加速ー振り下ろすの動きで痛みを感じる
肩甲骨周囲の筋肉の緊張や疲労感
パフォーマンスの低下
スイングスピードや投球速度の低下
ジャンプ力や打球・スパイク力の減少
コッキングや投球での痛み
技の完成度が上がらない
姿勢の変化
猫背(過度な胸椎後弯)
肩が前方に巻き込む
肋骨フレアー(肋骨が外側に開く)
競技特有の胸郭機能不全パターン
オーバーヘッド競技選手の場合:
反復動作による適応 -
投球やスパイクなどの繰り返し動作で片側の胸郭が硬くなる
筋力不均衡 -
大胸筋や広背筋の過緊張と胸郭周囲の深層筋の弱化
回旋可動性の制限 -
スイング動作の重要な要素である胸郭回旋が制限される

審美系競技(器械体操など)の場合:
伸展制限 -
特に鉄棒や平行棒での体勢保持による胸郭前面の硬さ
呼吸パターンの変化 -
常に腹部を引き締めるための胸式呼吸の優位性
肩甲胸郭関節の機能低下 -
肩甲骨と胸郭の連動性が失われる

なぜ胸郭機能不全が肩の痛みを引き起こすのか?
胸郭と肩関節は、鎖骨 胸骨 肋骨 肩甲骨 上腕骨と密接しています。
肩甲骨は胸郭上を滑るように動き、肩関節の動きを支えています
鎖骨は上肢を動かす際に作用し、安定性と力限として支えます
胸郭が正常に機能しないと起こりえることは以下の通りです
肩甲骨の動きが制限される
胸郭が硬いと肩甲骨の上方回旋や外転が制限される
結果として肩峰下インピンジメント症候群などを引き起こす
いわゆる”肘下がり”の状態になってしまう
力の伝達経路が乱れる
下半身からの力が上肢に効率よく伝わらない
肩関節に過剰な負担がかかる
代償動作が生じる
本来胸郭が担うべき動きを肩関節が補おうとする
腱板などの組織に過剰なストレスがかかる
呼吸と胸郭機能の深い関係
呼吸は単なる酸素摂取以上の意味を持ちます。
特にアスリートにとって、呼吸はとても大切でパフォーマンスに関わります
胸郭の可動性を維持する自然なエクササイズ
深い呼吸は胸郭を多方向に動かす
横隔膜の動きが胸郭の柔軟性を保つ
パフォーマンス向上の鍵
効率的な呼吸は酸素供給を最適化
適切な呼吸タイミングで力発揮を向上させる
自律神経のバランサー
意識的な呼吸コントロールでリラックスと集中を促進
試合前の緊張緩和や集中力向上に貢献
胸郭機能を改善するための実践的アプローチ
評価:自分の胸郭機能をチェック
胸郭の拡張性テスト
深呼吸時の胸囲の変化を測定(2.5cm以下は要注意)
前後左右の拡張差を確認
胸椎回旋可動域チェック
座位で骨盤を固定し、上体をどこまで回旋できるか
左右差がないか確認(45度以上が理想)
呼吸パターン観察
鏡の前で呼吸し、肩が上がっていないか
腹部と胸部のどちらが主に動いているか
改善エクササイズ:日常に取り入れたい実践法
1. 胸郭モビリティエクササイズ
胸椎回旋ストレッチ
横向きで膝を抱え手を前に伸ばす。上にある手を背中側に開き、胸椎の回旋を促進
5回×3セット、朝晩実施が理想的
首も一緒に回旋することで脊椎全体のストレッチをする
フォームローラーを使った胸椎伸展
背中にフォームローラーを当て、胸を開く
呼吸と連動させながら1分間×3セット
2. 呼吸エクササイズ
横隔膜呼吸の基本
仰向けで膝を立て、腹部に手を置く
鼻から4カウント吸い、口から6カウント吐く
腹部の動きを意識して5分間継続
箱型呼吸法(競技前の集中力向上に)
4カウント吸う→4カウント止める→4カウント吐く→4カウント止める
試合前の緊張状態のコントロールに効果的
3. 胸郭と肩甲骨の連動性向上
壁を使った肩甲骨滑り運動
壁に向かって立ち、前腕を壁につける
肩甲骨を内側に寄せながら壁に沿って腕を上げる
10回×3セット、週3回以上実施
チェストローテーション
四つん這いから片腕を天井に向けて回旋
胸郭と肩甲骨の連動した動きを促進
左右10回ずつ×2セット
競技別アプローチ:特異的トレーニング
オーバーヘッド競技選手のための特別プログラム
スイング・投球パターンでの胸郭回旋強化
メディシンボールを使った回旋投げ
野球の投球動作やバレーボールのスパイク動作中の胸郭の役割を意識する
インターバルドローイング
高強度トレーニング間の効率的な回復呼吸法
試合中のパフォーマンス維持に貢献
審美系競技(器械体操など)のための特別プログラム
支持姿勢での呼吸練習
平行棒や鉄棒での支持姿勢を保ちながら深呼吸
胸郭の前後の可動性向上に効果的
胸郭の分節的動き強化
仰向けでの肋骨の個別的な動きの意識づけ
柔軟性と制御性の両立を目指す
胸郭機能改善がもたらす多面的なメリット
胸郭機能を改善することで:
痛みの軽減・予防
肩や背中の慢性的な痛みの解消
将来の障害リスクの低減
パフォーマンスの向上
効率的な力の伝達
より大きな可動域での動作実現
回復力の向上
効率的な呼吸による疲労回復の促進
トレーニング間の回復時間短縮
競技寿命の延長
持続可能な体の使い方による長期的な競技継続
慢性障害の予防
内臓機能の最適化
心肺機能の向上
全身の生理機能向上によるコンディショニング改善
競技生活をより長く、より充実したものにするため、
日々のトレーニングに胸郭機能改善と呼吸の質向上を取り入れてみませんか?
小さな変化が、大きな結果をもたらします。

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最後までお読みいただきありがとうございました。
皆さまとお会いできることを楽しみにしています。
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